会報34号 平成14年4月20日    綾部の文化財一覧表へ  綾部の文化財
「いかるが民俗館」の活動について  (いかるが民俗館事務局)綾部市資料館 大 槻 康 彦
 近年、私達の生活様式は、さまざまな技術の進歩により、劇的に変化をしてきました。その結果、より利便性・機能性を追求する中で、その役目や必要性のなくなった物が「ゴミ」として廃棄処分され、この世から消滅しているのも事実であります。
 とりわけ、昔の生活・農産業用具、いわゆる「民俗・民具」は、住宅の改修や、農産業の機械化が進むにつれ、その多くが廃棄処分されるなど、先人たちの生活様式を知る上で大変貴重な資料も今や消滅寸前の危機的状況にあります。
 綾部市では、「民俗・民具」について、これまで全域的な調査が行われた例がなく、これらが消滅するまでに早急に調査活動を行い、先人たちの足跡を後世に伝え残すための調査資料の作成が重要かつ緊急の牒題となっております。
 こうした状況の中、「民俗・民具」の保存、収集、活用等を目的として、このたび「いかるが民俗館」という組織を結成いたしました。
 この組織は、「綾部の文化財を守る会」、「蚕糸(さんし)同友会」、「里山ねっとあやべ」、「綾部市資料館」によりスタートし、平成十四年四月から本格的な活動を開始することとなりましたが、将来は、もっと多くの市民の皆様にも参加いただける市民参加型の活動組織にしたいと考えています。
 当面の活動内容は、@民俗・民具の調査活動、A民俗・民具を活用した催し等の開催、B情報の発信等を考えています。
 調査活動については、綾部市全域を対象といたしますが、まずは、かつて学校や公民館において収集されたものから調査を開始したいと考えています。
 実際、綾部市内の十二の小学校のうち、十一の小学校において、それぞれ「民俗・民具」が残されております。
 しかし、そのほとんどが未整理、未調査の状態であり、何があるのか、いくつあるのかもはっきりしていません。
 「いかるが民俗館」では、これらひとつひとつの名称・写真撮影・提供者・提供に至った経緯など細部にわたって調査を行います。
 最初の調査は、中筋小学校から始めます。ここでは、これまで集められた「民俗・民具」の名称・提供者・提供条件などが、中筋資料委員会により一定調査されているため、写真撮影等の作業にかかりやすい条件が整っており、「研修」・「勉強」の場として最適な場
所と思われます。
 その後は、それぞれの会からお世話になっている役員の皆様や会員の皆様と一緒になって、その他の小学校などへ出向き、調査を行う予定です。
 そのほかにも、皆様方の御家庭や御近所に眠っているかもしれない「民俗・民具」についても、出来るかぎり調査を行いたいと考えています。
 そのためには、会員の皆様はもちろん、多くの市民の皆様の御理解と御協力が是非とも必要です。
 どうか、本活動の趣旨を御理解の上、調査活動につきまして、御協力いただきますようよろしくお願いいたします。
 なお、将来はこれらの成果を、例えば「綾部の民俗・民具」と題して、インターネットや図録等を通じて広く一般に公開したいと考えています。
また、一部の「民俗・民具」については、実際に展示をしたり、体験学習などに活用するなど、単に調査だけにとどまらない活動にしたいとも考えています。
 例としては、実際に石臼を使用しての「そぱ打ち体験」や、座繰り機を使用して、繭から糸をとる「糸繰り体験」等の体験学習会を開催して、「民俗・民具」の素朴さや、先人たちの知恵を、多くの方々、特に、若い世代や子供たちに知っていただき、「民俗・民具」に対する関心や理解を深めていただければと考えています。
 もちろん、これらの活動は、市の広報誌やマスコミ等を通じて広くお知らせし、参加や協力を求めたいと考えています。
おわりに、「いかるが民俗館」の活動は始まったばかりです。一度に多くの成果をあげることは困難ですが、焦らず、ゆっくり、着実に進めていきたいと思います。
 先人たちの足跡を後世に伝え残すために、皆様の御理解と御協力を重ねてお願いいたします。